技術記事 2026年6月1日 読了 約7分

AIはインフラ学習の救世主になるか?L2スイッチ役をやらせて検証してみた

「Cisco機器が高くて触れない」「検証環境を作るのが大変」―そんな悩みを抱えたことはありませんか?私は実際の現場でネットワーク保守やログ解析を経験する中で、AIを「疑似検証環境」として活用するようになりました。本記事では、AIにL2スイッチやLinuxサーバの役割を与え、インフラ学習に活用する方法を紹介します。

QE
Qurated編集部
デザインL

AIはインフラ学習の救世主になるか?

Qurated編集部のTです。

これまで、【初心者向け】「このログ何?」を卒業するエラーログ解析入門AIに聞いたCISCOコマンド vs 現場で使ったコマンドスマホ容量128GB限界勢、AIを使って自宅クラウドを作るで記事を公開している通り、私はインフラエンジニアとして日々AIにお世話になっています。

そんなインフラに携わる私の学習法のお話です。

今回はこんな記事です

AIの活用方法として、

  • 分からないことを質問する
  • コードを書いてもらう
  • 文章を作成してもらう

といった使い方は広く知られています。

しかし私が普段行っているのは少し違います。

AIにCiscoのL2スイッチやLinuxサーバの役割を与え、疑似的な検証環境として活用しているのです。

今回は、実際に私がどのようにAIを使ってインフラを学習しているのかを紹介します。

インフラ学習の壁

インフラエンジニアの勉強を始めると、誰もが一度はこんな壁にぶつかります。

  • 実機が高い
  • 検証環境を構築するのが面倒
  • 本番環境のような障害を体験できない
  • ログを見る機会が少ない

もちろん、Cisco Packet TracerやGNS3など優秀なツールはあります。

しかし、それらもある程度の知識や環境構築が必要です。(環境構築の段階で断念することもしばしば…)

「ちょっと試したいだけなのに準備が大変」

そんな経験をした人も多いのではないでしょうか。

AIにL2スイッチ役をやらせる

私がよく使う方法の一つが、AIにCiscoスイッチの役割を与えることです。

例えば以下のような指示を出します。(当然のことながら型番まで指定できれば正確性は上がります)

あなたはCiscoのC2960X・24ポートスイッチです。
今から私が入力するコマンドに対して、実機に近い形式で応答してください。

その後、

show logging
show interface status
show mac address-table

などを実行します。

するとAIはスイッチとして振る舞い、それらしい出力結果を返してくれます。

もちろん実機と完全に同じではありません。

しかし、

  • コマンドの意味を理解する
  • 出力結果を読む
  • 次に何を確認するべきか考える

といった訓練には十分活用できます。

Linuxサーバ役もやらせる

同じようにLinuxサーバとして振る舞わせることもあります。

例えば、

あなたはCentOS 8サーバです。
入力されたコマンドに対して、実機らしい結果を返してください。

と指示します。

すると、

journalctl
cat /var/log/messages
ip addr

といったコマンドに対し、状況に応じた出力を返してくれます。

ログ解析の練習やLinuxコマンドの学習には非常に便利です。

特に役立つのは障害対応の練習

私が最も価値を感じているのはここです。

例えばAIに、

  • DHCP枯渇させる
  • DHCP Snooping違反を発生させる
  • STPループを発生させる
  • ポート障害を発生させる
  • 特定端末だけ通信できない状況を作る

といった条件を与えます。

するとAIはその状況に応じたログや機器の状態を返してくれます。

その状態で、

show logging
show spanning-tree
show interface status

などを実行しながら、

  • 何が起きているのか
  • 原因はどこにあるのか
  • 次に何を確認するべきか

を自分で考えます。

これは実際の障害対応に近い感覚で学習できるため、非常に効果的です。

現場経験があるからこそ感じる価値

私は以前、マンションネットワークの保守運用に携わっていました。

Cisco、Allied Telesis、古河電工製の機器を扱いながら、障害が発生すれば現地へ駆けつけて対応する日々でした。

メディアコンバータの故障やL2スイッチの不調など、よくある障害も数多く経験しました。

しかし実際の現場では、

「何が起きているのか全く分からない」

というケースも少なくありません。

そんなときに重要になるのが、

  • ログを読む力
  • 状況を整理する力
  • 仮説を立てる力

です。

AIを使った疑似検証環境は、まさにその力を鍛えるためのトレーニングになります。

AIは検索エンジンではなく学習環境

AIは便利な検索ツールとして語られることが多いですが、私はそれ以上に「学習環境」として価値を感じています。

分からないことを調べるだけなら検索エンジンでも十分です。

しかしAIは、

  • 疑似的な機器になれる
  • 障害を再現できる
  • ログを生成できる
  • 壁打ち相手になれる

という特徴があります。

これは従来の検索エンジンにはできないことです。

もちろん万能ではない

一方で、AIには限界もあります。

  • 実機と挙動が異なることがある
  • 存在しないログを生成することがある
  • ハルシネーションが発生する

そのため、AIの出力を鵜呑みにするのは危険です。

特にCiscoのC1300などは公式ドキュメントすら間違えているレベルですので、AIに聞いても正確な答えが返ってこないことには注意が必要です。

最終的な判断は必ず公式ドキュメントや実機検証で確認する必要があります。

AIはあくまで学習を加速するための補助輪だと考えるべきでしょう。

まとめ

私はこれまで、

  • ログ解析
  • 障害対応
  • 設計レビュー
  • 技術調査

など様々な場面でAIを活用してきました。

その中でも特に価値を感じているのが、AIを疑似的なネットワーク機器として活用する方法です。

実機がなくても学べる。

検証環境がなくても試せる。

そして何より、思いついたことをその場で検証できる。

インフラ学習において、これほど心強い存在はありません。

もし学習環境に悩んでいるなら、一度AIにL2スイッチやLinuxサーバの役割を与えてみてください。

思っている以上に面白く、そして学びの多い体験になるはずです。


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